環境講座

こりどらす先生の環境講座2:下水処理の中心技術・微生物のかたまり「活性汚泥」

以前の記事で、私たちが使った後の汚い水を綺麗にする施設である「下水処理場」の仕組みについて解説しました。

今回の記事では、その下水処理場の核となる技術である「活性汚泥」について詳しく解説します。

ただの泥だと侮ることなかれ、そこには非常に奥深く、面白い世界が広がっているのです!

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活性汚泥とは?

私たちが家庭で使った後の汚い水は、下水処理場で綺麗にされてから川や海に戻されます。

この下水処理場で水を綺麗にする役割を果たしているのが「活性汚泥」です。

汚泥という名前が付いていますが、実際にはただの泥ではなく、微生物がたくさん集まった塊です。

下水処理場で水を綺麗にする主な場所である「反応槽」は、活性汚泥がたくさん浮遊した泥水のようになっています。

ここに空気を送り込んで6~8時間ほどかき混ぜると、活性汚泥の中の微生物が水中に溶けて残っている汚れ(例:油やたんぱく質などの有機物)を食べて分解してくれるのです!

活性汚泥が水を綺麗にする原理

汚い水に溶けている汚れ成分は、まず全て活性汚泥の表面に吸着されます。

その後、汚れのうち低分子の成分(単糖類、低分子有機酸、アミノ酸、アルコールなど)はそのまま微生物の体内に取り込まれ、エネルギー源として消費されます。

我々人間がご飯を食べてエネルギーにするのと同じようなイメージで、活性汚泥の微生物が「汚れ」という名のご飯を食べて増殖するのです。

汚れのうち高分子の成分(多糖類、脂質、たんぱく質など)は、微生物が分泌する酵素で細かく分解されてから、微生物の体内に取り込まれ、エネルギー源として消費されます。

一方、微生物が分解できない重金属や難分解性物質(フミン酸、フルボ酸といった腐植物質など)も、活性汚泥に吸着されます。

つまり、活性汚泥が水を綺麗にする原理は

  • 微生物が分解できる汚れ→微生物が食べてエネルギーとし、微生物が増殖する
  • 微生物が分解できない汚れ→微生物の周りにくっ付けて逃がさない

ということになります。

その後、微生物が汚れを食べて増殖し、汚れをくっ付けることで大きくなった活性汚泥を沈めて水と分離することで、綺麗な水ができるという訳です。

活性汚泥にはどんな微生物がいる?

活性汚泥には大きく分けて①細菌②原生動物③後生動物の3種類の微生物が生息しています。

このうち、主に細菌が汚い水の中の汚れを食べ、そこで増えた細菌を原生動物が食べ、その原生動物を後生動物が食べる、といった食物連鎖が活性汚泥の中では起こっています。

それぞれ、

  • 細菌:ズーグレア、フラボバクテリウム、バチルス(納豆菌の仲間)、シュードモナスなど
  • 原生動物:ツリガネムシ、アメーバ、アルセラ、エピスティリス、ペラネマなど
  • 後生動物:クマムシ、イタチムシ、線虫など

といった非常に多くの微生物で構成されています。

活性汚泥はこれら様々な微生物がうまくバランスを取って成り立っています。

しかし、下水処理場に入ってくる汚い水の水質や水量が急激に変わったりすると、そのバランスが崩れて糸状の菌(糸状性細菌)が増殖します。

すると活性汚泥が沈みにくくなり、うまく水を綺麗にすることができなくなってしまいます(これをバルキングと呼びます)。

そのため、下水処理場ではこの活性汚泥中の微生物バランスをうまく保つように管理しているのです。

私が活性汚泥を「飼った」体験談

私の大学時代には、所属していた研究室で、実験で使うために活性汚泥を「飼って」いました

見た目は大きなバケツに入ったまさに泥水という感じです。臭いかどうかは人によると思いますが、独特のにおいがします。当時の写真がなく残念…

普段はよくある金魚のエアーストーンで空気を送り、軽くフタをして実験室に置いてありました。

お世話は当番制で、たまに私もやっていました。お世話の内容は、定期的に

  • 泥水の一部を捨てて減った分の水を加える
  • 微生物のエサとしてカツオのエキス(茶色いペースト)、ペプトン(たんぱく質を酵素で分解したもの)、各種栄養成分を入れる

というものです。これだけで、半永久的に活性汚泥を維持することができます!

私は研究室に所属していた3年間お世話していましたが、見た目は泥水にしか見えなくても、その中にたくさんの微生物がいると思うと、とても愛着が湧いていました。

皆さんにもぜひ体験してほしいですね!

まとめ

今回の記事では、下水処理の中心技術である微生物のかたまり「活性汚泥」について詳しく解説しました。

活性汚泥には多種多様な微生物が存在しており、これらの微生物がうまくバランスをとって汚い水の汚れをくっ付けたり食べたりしてくれます。

そのおかげで、私たちが使った後の汚い水で川や海を汚さずに生活できているのです。

なかなか普段は下水処理場のことを考える機会なんてないと思います。

ただ、この「活性汚泥」が縁の下の力持ちとして、社会に必要不可欠な存在として、私たちの生活を支えてくれていることを、環境を守ってくれていることを、ぜひ知ってほしいと私は願っています。

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